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中国・H-01Bあ号標的ブロック4




神宮司少佐
「――待て!妙だぞ…」



『誰』
「少佐、どうしたんですか!?」



神宮司少佐
「妙だ…有線で遠隔制御された起動
タイマーの動きが止まった…。
まさかBETAが破壊した…?」



『誰』
「え…起爆タイマーだけを狙って
破壊するなんて…BETAがそんな
高度な真似を…?」



神宮司少佐
「いやあり得る。そう考えれば、
横浜基地防衛戦で、速瀬がS-11
を抱えて自爆した理由も分かる」



『誰』
「そうか…リモートで爆破すれば
よかったのにしなかったのは…
できなかったからなのか!?」



神宮司少佐
「何という事だ…。ここには、私を
含め当時の詳細を知る者がいない。
それが仇になったか!」



神宮司少佐
「せめてその可能性を僅かでも
疑っていれば、香月司令に問い質す
事もできたのにっっ!!」



『誰』
「世界の融合によって人類は、一度
死んだ衛士を始め、多くの精鋭を
得ることが出来たが――」



『誰』
「最後の最後でこんな盲点があった
とは――!!」



篁唯依
「わ、私が戻ります!周囲の
BETAを完全に殲滅しなかった
私の責任です!」



『誰』
「そんな訳があるか!
戻るなんて死にに行くのと同じだ」



篁唯依
「装置を手動で作動させ、すぐに
天井の穴に退避すれば…」



『誰』
「冷静になれ!無理に決まって
いるだろう!こんな時に夢みたいな
事を言うなッ!!」



篁唯依
「お言葉ですが!我々は夢の実現
の為に死力を尽くして来たのです!
結果を追い続けて来たのです!」



篁唯依
「人類の未来を掴むという途方も
ない夢…それがもうすぐ叶う…。
その為ならばこの身など――」



篁唯依
「………………」



篁唯依
「あっ!『誰』大尉!!」



神宮司少佐
「何をする気だ!
戻れ『誰』大尉!!
部隊員達も何故後に続くッ!?」



『誰』
「篁中尉の言葉はその通りだ!だが
そうだとしたら、これはオレの仕事
です!」



『誰』
「部下にまで強制する気はなかった
が…ついて来た以上はひと頑張り
キッチリ働いてもらうぞ!!」








『誰』
「…やはり起爆タイマーだけが
綺麗に破壊されている。BETA
がやったんだな」



『誰』
「部隊員に告ぐ。これよりオレが
手動で起爆装置を起動させる。
全機、天井に退避しながら聞け」



『誰』
「猶予は30秒!それ以上は
待たない。急げッ!!」



『誰』
「オレは起爆装置起動後、全速力で
穴に突っ込む。衝突しないように
空けておけよ!」



「「――了解!」」



『誰』
(24、25、26――
一瞬の勝負だ…………)



『誰』
「――なにィッ!?」



『誰』
「ぐあああああっっっ!!」



篁唯依
「『誰』大尉!?
一体何が――」



『誰』
「………………跳躍ユニットを
破壊された…」



篁唯依
「「「な――」」」



篁唯依
「今そちらに――」



『誰』
「来るな!少し遅れたが、
起爆装置はこのまま起動する。
巻き込まれるぞ!」



篁唯依
「そんな…………」



『誰』
「篁中尉…。オレは、後悔など
していない。人類をこの状況から
救い出す事がオレの使命だ」



『誰』
「これまで幾度となく死の危険に
さらされながらも生き延びてきた。
そしてここまで辿り着いた」



『誰』
「これほど重要な仕事を全うさせて
もらえた事に、むしろ感謝している
ぐらいだ」



『誰』
「この先は…中尉、君が引き継いで
くれ。夢が現実になったかどうか、
君の目で確かめて欲しい」



篁唯依
「『誰』大尉……」



『誰』
「…全員に最期の挨拶をしたい
ところだが、時間が許さない。
残念――いや」



『誰』
「君に言葉を伝える時間を貰えた
だけで幸せなんだな。
それじゃ、今まで世話になった」



篁唯依
「『誰』大尉ッッ!!」



『誰』
「人類を…世界を――
よろしく頼むッ!!」



篁唯依
「『誰』大尉ぃぃぃぃ!!」



ズンッ!!!!!



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