豪州・タスマニア島1
『誰』
「もうすぐタスマニアですね。
ところで司令、我々は南極の
何処に向かっているんですか?」
香月夕呼
「マクマード・スコット基地よ。
マクマード基地とスコット基地を
併合して造ったのよ」
香月夕呼
「詳しい事は図書室にでも行って
調べて頂戴。で、現在は南極条約
を無視して軍備増強中ってトコ」
神宮司まりも
「司令、ニュージーランド南端の
スチュワート島に例の研究施設が
あるという話ですが…」
香月夕呼
「ああ、南極組が見つけて観察を
続けてたってやつね?あたしを
待ってたのは賢明よね~」
香月夕呼
「とりあえずMS基地への到着を
優先するけど、その後はそこを
調査するわ――『誰』!」
『誰』
「はい!」
香月夕呼
「その時は施設を破壊しちゃ
ダメよ。今度は施設の詳細を
調査したいから」
『誰』
「了解!やっとその余裕ができ
ましたね。無傷でBETAだけを
排除してみせます」
神宮司まりも
「――司令、タスマニア島西岸に
小規模のBETA確認!エアー
ハイヴからの離散組のようです」
香月夕呼
「…何処に向かってるんだか。
泳がしたいトコだけど仕方ないわ。
じゃ、『誰』よろしく」
香月夕呼
「豪州軍には割ける戦力なんて
もうないでしょ。それに気になる
事もあるし。行って頂戴」
『誰』
「――了解!」
神宮司まりも
「大尉からのデータを分析した
結果、司令の想像通りBETAは
施設に向かっていたようですね」
『誰』
「司令、前から気になっていた
んですが、何故BETAは施設に
向かおうとするんでしょうか?」
香月夕呼
「活動エネルギーの補給でしょ。
エアーハイヴの反応炉が破壊された
からこっちに――」
『誰』
「ち、ちょっと待ってください!
それじゃ研究施設には反応炉が
あるってことですか!?」
香月夕呼
「それをこれから調べるんでしょ。
それより残存BETAの更なる出現
に備えて、あんたを置いてくわ」
香月夕呼
「MS基地から迎えをやるから、
合流し次第施設に向かいなさい。
それまでそこで頑張ること」
『誰』
「――了解!では豪州軍に補給
要請をお願いします。部隊を割く
余裕はなくてもそれぐらいは…」
神宮司まりも
「大尉、既に要請済みです。
どうぞご安心ください。
それではお気を付けて」