南極・マクマード・スコット基地
『誰』
「『誰』大尉、ただ今帰還
しました!…しかし、司令室の
雰囲気はあまり変わりませんね」
神宮司まりも
「大尉、早速ですが当マクマード・
スコット基地を中心とした、我々の
現状をご報告します」
神宮司まりも
「現在、大陸沿岸部を中心に存在
する各国の観測基地を接収、拠点
として利用する為の作業中です」
神宮司まりも
「しかし大陸は豪州の2倍程の
広さがある上、環境も過酷です。
その為、作業は難航しています」
神宮司まりも
「標高4000mを超える地域は
-60度を下回る事も
ありますので」
香月夕呼
「それでも四方を大海に囲まれて
いるし、いろんな意味で拠点には
最適なのよ」
『誰』
「わかります。それにしても
本当に南極条約はどこかに
行ってしまったんですね」
香月夕呼
「この後に及んで軍事利用禁止
とか言ってる場合じゃないし。
さて次の予定だけど――まりも」
神宮司まりも
「は!大尉には休暇の後、極寒
環境下でのBETA戦を想定した
訓練を行って頂きます」
『誰』
「――了解!」
『誰』
「…寒冷地を想定した訓練は
これまでも行ったことはあるが、
南極では勝手が違うな」
『誰』
「特にクレバスには細心の注意を
払わないと、一気に数十m滑り落ち
――ん?司令部から呼び出しだ」
『誰』
「何かありましたか?」
神宮司まりも
「昭和基地からの連絡で、激しく
破壊されたタンカーが漂着した
とのことです」
香月夕呼
「海流から推測すると、南米か
アフリカの南端から流れてきた
可能性が高いわね」
『誰』
「…まさかそのタンカー、
BETAが破壊したと言うつもり
ですか?」
香月夕呼
「わからない。でもそうなら
最悪ね」
『誰』
「豪州に続きその両大陸まで
BETAの支配下となると、
人類は…」
香月夕呼
「とにかく行って調べてきて。
篁とツイの部隊も連れて
行きなさい――で」
香月夕呼
「途中にあるマラジョージナヤ
基地の様子も見てきて頂戴。
連絡が付かないのよ」
『誰』
「了解、急ぎ出撃します」