南極・昭和基地
篁唯依
「――昭和基地より緊急通信!
BETA接近につき、救援請う!
繰り返す――」
『誰』
「マラジョージナヤで討漏らした
奴か!?拙い、急ぐぞ!!」
崔亦菲
「昭和基地にはどっかの部隊が
いたりしないの!?迎撃に
出しなさいよッッ!!」
『誰』
「海岸沿いに北上して別の基地に
向かっている!俺達が追いつく
のが一番早い!急げッ!」
崔亦菲
「想定外の戦闘続きで弾薬も
燃料も危ないんだけど!」
篁唯依
「ファング1より暴風1。愚痴
るな、条件は皆同じだ。それとも
怖じ気づいた事の誤魔化しか?」
崔亦菲
「はあ!?ふざけてんじゃ
ないわよ!やってやるわ、
ほら、急ぎなさいよッ!」
篁唯依
「――大尉!
昭和基地に向かうBETA群に
追いつきました!」
崔亦菲
「なんだ、数は多くないわね。
ったく、面倒掛けてくれるわ!
ここで必ず全滅させるわよ!」
『誰』
「崔中尉の言う通りだ。
全機、戦闘開始ッッ!!」
篁唯依
「こちらファング1、中隊全機、
周囲にBETAの反応無し!」
『誰』
「了解――だが全機全周警戒!
まだ気を緩めるな。1匹たりとも
見逃すんじゃないぞ!」
香月夕呼
「――『誰』
取り込み中のとこ悪いんだけど」
香月夕呼
「あんたから報告を受けた…何?
氷の地下洞窟?の事なんだけど、
そんなもの無かったわよ?」
香月夕呼
「それどころか、研究施設すら
見当たらず、マラジョージナヤ
基地がそこにあったって」
『誰』
「基地が…あった!?そんな
馬鹿な――いや、もしやそれは
世界が元に戻ったという事か?」
篁唯依
「ですがこれまで施設を破壊した
際、それが消えたという報告は
受けたことがありません」
香月夕呼
「今まで破壊した跡地に今行けば、
どうなってるのかしら?空間が元に
戻る時間は一様じゃないのかも」
篁唯依
「『誰』大尉!北西方面に
向けて渡海を開始したBETAが
発見されました!」
香月夕呼
「北西に渡海?もしかして…。
『誰』、この話は後よ。
すぐ後を追いなさい」
香月夕呼
「BETAを間引いた後、
発信器を打ち込んでそのまま
行かせるのよ」
『誰』
「発信器…行き先を調べるのか。
了解!」