中国・オリジナルハイヴ主縦杭1

「…………………………。
大尉、質問の許可を」



「言われなくても分かっている。
この…更に下へと続く主縦坑の
事だろう？」



「こんなものはＡ－０１部隊の進行
ルートにはありません。いえ、
それだけでなく――」



「ハイヴのセオリーからしても、
これほど深い主縦坑は
考えられません…」



「横穴はあるか？Ａ－０１部隊が
底部に到達後進んだ横穴がある
筈なんだが？」



「いえ、見当たりません。ちなみに
この縦穴、深さは測定不能です」



「いくらなんでも、こんな短期間で
ここまでハイヴが成長する筈が
ない…どういう事なんだ？」



「大尉、下からＢＥＴＡ反応です。
いずれにしろ進む以外に道は
ありません。行きましょう」



「そうだな。この先に何があるのか
が分かれば、謎の答えも見つかる
かもしれない」



「でもこれ…帰る事なんてできるの
かしらね――って！
何でもないわ」



「弱気になるのは早い。今は
とにかく全力で進むだけだ。
行くぞ！」

「主縦坑の底部に到達した模様
です。大体想定していた倍の
長さを下った事になりますね」



「しかし…ＢＥＴＡが散発的に出て
来た事を除けば、特別変わった
ところはなさそうですが…」



「いや、そんな事は無いぞ。
十分奇妙な現象が起きている」



「え…？」



「シェルベリ中尉、Ａ－０１部隊が
進んだマップと現在の地形を
照合してみてください」



「それってどういう…………
…………あっ！」



「そうだ。この場所こそ、Ａ－０１
部隊が通った、主縦坑の底部だ。
何故かこんな場所にある」



「どういう事？それじゃまるで、
主縦坑の”途中”が延長された
みたいじゃない！」



「ここは穴なのよ？下に延伸する
ならともかく、”途中”を延ばす事
なんて出来る筈ないのに…」



「２つあるんだ…」



「あの、大尉、今何と？」



「オリジナルハイヴは、２つある。
それが縦方向に、ズレて重なって
いるんだ…」



「ハイヴが縦にズレて重なって
いる…。だから主縦坑は深さが
２倍で――」



「あたかも”途中”が伸びていた
ように感じられたという事
ですか？」



「もう少し調べる必要はあるが、
そう考えれば辻褄は合うだろう？」



「マップと同様の横穴もあります」



「ここがどちらの世界のハイヴかは
わからないが、とにかく進んで
みよう…」