日本・横浜
香月夕呼
「それじゃ最初の任務だけど…
基地から全員を避難させるわ。
その支援をして頂戴」
香月夕呼
「知ってると思うけど、この横浜
基地は旧横浜ハイヴの上にある。
反応炉も機能したままでね」
『誰』
「はい。でも桜花作戦直前に
BETAの襲撃を受け、反応炉は
破壊されたと聞いています」
香月夕呼
「正しくは『破壊した』よ。
BETAは反応炉に引き寄せ
られるから」
香月夕呼
「けどそれが突如復活した。
大量のBETAと共にね」
『誰』
「それも確率時空世界が
統合された影響か…」
香月夕呼
「基地は壊滅的ダメージから回復
していない。反応炉までの道は
瓦礫の山で閉ざされているわ」
香月夕呼
「奴らが這い上がってくる前に
全員を避難させる。第一陣は
既に送り出した」
香月夕呼
「続く脱出部隊を守るのが、
あんたの初仕事よ。しっかり
やんなさい――まりも!」
神宮司まりも
「は!既にBETAは基地の
敷地内他、周囲の旧市街にも
出現しています」
神宮司まりも
「大尉はそれらを迎撃し、
脱出部隊の進路を確保して
下さい」
神宮司まりも
「作戦終了後は速やかに帰投し、
香月司令と合流して下さい。
その後、我々も脱出します」
『誰』
「――了解ッ!!」
香月夕呼
「何とか無事に送り出せたわね。
ま、初めての指揮にしては上出来
と言っていいでしょう」
神宮司まりも
「横浜基地の爆破を確認――が、
反応炉の破壊には至りません
でした…」
香月夕呼
「ま、当然よね。
事態終息の暁には元の破壊された
状態に戻ると信じる他ないわね」
『誰』
「それより我々はどこに向かって
いるんですか!?脱出隊とは
方向が違うようですが…」
神宮司まりも
「はい、南極基地に向かいます。
人類防衛機構の拠点にて
本格的に反抗体制を整えます」
神宮司まりも
「まずは太平洋岸沿いに西進。
途中、可能な限り物資を調達し
沖縄から台湾へ渡ります」
神宮司まりも
「収容数の関係で、戦術機は
陸路と海上輸送を部隊毎に
ローテーションして進みます」
神宮司まりも
「なお一部職員を乗せた輸送船は
先行してマニラを目指しており、
我々とはそこで合流予定です」
『誰』
「なるほど太平洋ならBETAと
遭遇するリスクもほぼ無く、
安心できますね」
香月夕呼
「その常識、今でも通用すると
いいんだけどね。ま、どのみち
選択肢はそれだけだけど」
香月夕呼
「じゃ、出発の準備を急がせて。
再びBETAが出てくる前に、
ここを離れるわよ」
『誰』
「――了解!」