南アフリカ・ケープタウン

「さすが、大尉。見事に
お姫様奪還、成功させたわね」



「ひ、姫様奪還！？…何を。
人を囚われの姫みたいに…」



「崔中尉は、そんな態度だが
篁中尉のことを心配していたぞ。
神妙な顔をしてな」



「そうか。それは素直に嬉しい。
崔中尉もアフリカ連合軍救援、
ご苦労だった」



「ふん、こんなの大した事
ないわよ」



「だが喜んでばかりはいられない。
神宮寺少佐から受け取った情報に
よるとアフリカの情勢は深刻だ」



「少佐は帝国軍欧州派遣部隊として
エジプトで戦線を維持してきたが
劣勢。アフリカへ撤退」



「だがアフリカはＢＥＴＡの侵略を
受け、全土が前線と化していた為、
更なる戦闘を強いられた」



「そんな満身創痍の中、篁中尉の
救援要請を受信し、駆けつけて
くれたんだ」



「アフリカはもう後方じゃない。
人類生存に不可欠な要衝が、次々と
失われている…」



「…事情はわかった。でも大尉、
落ち込んでる場合じゃないでしょ？
最近、考えてる事が暗いわよ！」



「――大尉、大隊規模のＢＥＴＡ群
確認！迎撃しましょう！」



「…俺がネガティヴになって
どうする。よし迎撃だ！
――また崔中尉に助けられたな」



「貸しは作っといて損ないんで！
それじゃお先に！暴風中隊全機
私について来なさいッ！」



「よし、俺達も出るぞ！
中隊全機、兵器使用自由！」

「さすがに連戦はきっついわね～。
休暇貰ってプール行きたいわ。
温水でサウナ付きの」



「温泉か…それはいい。
疲れが一瞬で取れる」



「温泉に浸かれば、疲れが
一瞬で取れる、か。
『ツカレ』だけに……」



「うん？何か言った、大尉？
…あ、そうだわ」



「アフリカ連合軍の報告だと、
部隊を襲ったＢＥＴＡは南西から
来たらしいわよ」



「で、今倒した奴らも南西から
こっちに移動してきたじゃない。
あんた達もそうだったでしょ？」



「確かに。という事はここから
北東方面に何かがあるという
事か、『何か』が…」



「神宮司少佐に話を聞いてみる。
補給中は、各自部下に休息を
取らせておいてくれ」



「「了解」」