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南アフリカ・ウースター2




『誰』
「BETAの第二波が迫っている。
再起動は無理か?」



イーフェイ
「残念ながらこれ以上は無理です」



『誰』
「わかった。篁中尉の言う通り、
この先中尉の機体が無くなるのは
大きな損失だ」



『誰』
「バオフェン中隊は崔機を抱えて
撤退だ!俺達は迎撃に打って
出る!」



イーフェイ
「戻るって事ですか!?ダメです!
せめてウチの奴らも――」



『誰』
「BETAの規模から言って、
ある程度は必ず抜けてしまう。
その時の為の護衛だ」



イーフェイ
「危険です!
もう弾薬も推進剤も限界の筈です!
せめて一緒に撤退を――」



『誰』
「議論している暇は無い。行けッ!
俺達はBETAを迎え撃つぞ!」








『誰』
「弾薬も推進剤も尽きたか…。
この数、さすがに想定外だったな」



篁唯依
「ですが後続はいません。やはり
少佐達は生きて頑張っている…我々
もあと少しだったのですが…」



『誰』
「――よし!弱音は終わりだ。
俺達は死ぬわけに行かない。
できることを考えよう」



篁唯依
「はい、では私以外の者は撤退を。
S-11を使います――勿論
自爆する気はありません」



篁唯依
「遠隔操作で爆破するんです。
大尉達は先に安全圏まで下がって
ください」



『誰』
「無理だ。BETAは中尉の避難が
済むまで待ってなんかくれない!
S-11を排除しようとする!」



『誰』
「かぶりついて爆発したら、あの
威力じゃ中尉は消し炭も残らず消滅
する。遠隔操作は非現実的だ!」



篁唯依
「BETAの死骸に埋めれば
少しは――」



『誰』
「その『少し』にどれ程の意味が?
S-11の威力を知ってるだろ!
逃げ切れない!現実を見ろ!」



篁唯依
「我々は常に分の悪い賭けに勝って
ここまで来たんです。今も同じ…
やるべきです!」



『誰』
「それは論点のすり替えだ。
どうしても言うのならオレが――
なっ!警告音!?」



篁唯依
「大尉!BETAが次々と…
こ、このマーカーは!?」



???
「聞こえるか?こちらは欧州連合軍
所属ツェルベルス大隊。
アイヒベルガー少佐だ」



『誰』
「ツェルベルス大隊…
アイヒベルガー少佐だと!?」



???
「どうやら間に合ったようだな。
これより貴官を援護する!」



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