コンゴ・ムバンダカ密林地帯4
アイヒベルガー
「『誰』大尉ご苦労だった。
貴官の指揮によって無事反応炉は
破壊され、損害も軽微で済んだ」
ジークリンデ
「篁中尉は後方支援部隊へ預け、
応急処置を受けています。命に別状
はないそうですよ」
『誰』
「ありがとうございます。しかし…
崔中尉に続き篁中尉まで戦線離脱と
なると、任務続行は不可能か…」
ジークリンデ
「しかし南極へ戻るにしても、時間
がかかる上、大陸の調査は途中…。
そこでひとつ策を講じました」
『誰』
「策…ですか?」
ジークリンデ
「北上し、エジプト戦線への協力を
要請します。欧州、中東からの
BETA流入を阻止するのです」
ジークリンデ
「そこには我が大隊のローテ中隊
第2小隊の他、欧州派遣軍からも
増援が送られています」
『誰』
「欧州派遣軍!神宮司少佐の部隊!
そうか、それならこちらの協力を
取り付けやすい!」
アイヒベルガー
「俺達はアフリカ大陸のBETAを
殲滅し、貴官らは大陸への流入を
阻止する…」
ジークリンデ
「大陸の奪還に一定の目処が
立てば、大尉の任務への協力も
得られると思いますが…?」
『誰』
「その通りです!さっそく香月司令
に伺ってみます。その為にはまず、
進路上の残存BETAを――」
アイヒベルガー
「そうだ、排除する。
全機、これで終わりだ。
抜かるなよ」
香月夕呼
「なるほど、エジプト戦線ね…。
こっちとしては『誰』が任務
継続できるなら文句はないけど」
『誰』
「了解しました。ではそのように。
篁、崔の両中尉は完治するまで
この地に残します」
香月夕呼
「でも長期の協力は無理よ?早々に
欧州派遣部隊の増援ごと出て行く
事になるけど、いいわけ?」
アイヒベルガー
「構いません。補充の目処は立って
います」
香月夕呼
「ねえ、その指揮を執っているのは
どこの基地?コネクションを確立
したいんだけど」
香月夕呼
「まともに状況を把握できる地域が
少なくてね~。人類って殆ど絶滅
したんじゃないかしら?」
アイヒベルガー
「BETA襲撃で致命的ダメージを
負った基地が多いのでしょう。
衛星が生きていても使えない」
香月夕呼
「たとえ使えても、南極基地の事が
周知されていなければ連携も取れ
ないでしょうが」
香月夕呼
「そうなのよね…。だから
アフリカが取り戻せれば、随分
対策が立てやすくなる」
香月夕呼
「とりあえずよろしく。
ああそうだ、『誰』は
ちゃんとあんたに貸し作った?」
アイヒベルガー
「はい、なかなかの逸材です。
何かあればいつでも」
香月夕呼
「よくやったわ『誰』!
それじゃ後は出発までゆっくり
休んでいいわよ。お疲れ~」
『誰』
「ありがとうございます、司令。
今日は、ゆっくり眠れそうだ…」