エジプト・カイロ
『誰』
「防塵処理済みとは言え、外観は
何一つ変わっていなかったし、
コクピットも当然そのままだな」
イルフリーデ
「戦術機は劣悪な環境での運用も
考慮された作りになってますが、
砂漠では相応の対策が必要です」
イルフリーデ
「熱対策や防塵処理を施さなければ
最新鋭の戦術機でも長時間の運用は
命取りになりかねません」
『誰』
「戦術機と言えば、オアーゼ中隊に
EF-2000は3機のみだった。
主編成はE-4Eのようだが?」
イルフリーデ
「御存知の通り、ツェルベルスの
本隊はアフリカ側の奪還に全力を
注いでいますからね」
イルフリーデ
「私達はアフリカ連合軍と欧州軍の
混成部隊として、最前線の維持を
命じられていますわ」
イルフリーデ
「でも私はお留守番なんです。
コンゴハイヴ攻略作戦に、私も
参戦したかったのですが…」
『誰』
「そ、そうか。まあ前線にいれば
手柄も立て放題では………待て。
最前線がカイロ基地だと?」
『誰』
「本来の世界でエジプト最前線は
イスマイリヤ基地だったはずだ…」
ブリギッテ
「本来の…?先日、イスマイリヤは
BETAの攻撃により陥落。現在、
カイロまで前線を退いています」
『誰』
「…そうか。それは悪い知らせ……
ッ!?警報?CODE:991か!
基地防衛に当たる!各機続け!」
ブリギッテ
「……面白い。そう来たかッ!
だが、私には全てお見通しだ!
――もらったぁ!」
『誰』
「…中尉は本当に凄い勢いで
BETAを撃破していくな。敵捕捉
及び射撃精度に優れている」
イルフリーデ
「中尉の左眼には照準装置とリンク
しているレーザーコネクタが
埋め込まれているんですよ」
イルフリーデ
「視認し、照準。その動作を省き、
視認と同時に照準が可能なので、
その攻撃たるや正に迅雷です」
『誰』
「あの眼帯の下に、そんな秘密が。
ツェルベルスの隊員は皆が皆、
尋常では無い能力を持っている」
『誰』
「ま、まさか全員が何かしらの
強化装置を組み込まれ――」
イルフリーデ
「それはありませんわね。
みんな生身の普通の軍人さんです。
中尉以外は」
ブリギッテ
「……ほう。私だけ普通ではない
改造人間のように言うか、少尉」
イルフリーデ
「え…!?し、失言でした!
申し訳ありません…!」
『誰』
「両名とも仲が良いな。だが続きは
基地でやれ。よし、全機帰投する!
夕飯には間に合わせるぞ!」