エジプト・カイロ基地シャトル発射台2
『誰』
「カーゴへの搬入準備を進めろ!
今度BETAに襲われたら、本当に
どうする事もできなくなるぞ!」
篁唯依
「いよいよですね、大尉」
『誰』
「ああ…打ち上げ予定時刻まで
あと2時間。頼む…無事に過ぎて
くれ…………」
――ヴィーッ!ヴィーッ!!
篁唯依
「…叶わぬ願いだったか」
神宮司少佐
「『誰』大尉、貴様等は
そのままカーゴに入れ。ここは
我々が引き受ける」
『誰』
「…………了解っ。
よろしくお願いします……」
「――大尉!発射場にBETAが!
ち、地下から次々と出現して――
ああッ!シャトルがッッ!!」
『誰』
「ッッッ!!くそぉぉぉおお!!!
ファング、暴風両中隊は動くな!
俺が出るッ!!」
神宮司少佐
「『誰』大尉、やめろっ!」
『誰』
「シャトルが1機やられたんです!
俺が出なきゃ更にやられる!」
『誰』
「中隊全機!これ以上シャトルに
手を出させるな!何としてでも
守り抜けッッ!!」
神宮司少佐
「南極基地から指令!打ち上げ準備
完了次第、順次打ち上げる!
『誰』大尉戻れッ!!」
『誰』
「し、しかし!
今ここを離れたら…」
神宮司少佐
「貴様はよくやった!後は我々
だけで何とか抑えられる。今の
うちに行くんだ!」
『誰』
(嘘だ…少佐達だけでは防げない。
だが打ち上げが終わらねば、いつま
でも少佐達は下がれない…)
『誰』
「…了解。
神宮司少佐、後はよろしく
頼みます!」
崔亦菲
「大尉!今この場を離れたら、少佐
達は持ち堪えられませんよッ!!
私も残ります!」
『誰』
「駄目だ!少佐が同行できない事で
作戦の成功確率は低下している。
これ以上は絶対に駄目だ!」
『誰』
「……今は俺達が為すべき事に
集中しろ」
崔亦菲
「く…………」
「――――――」
「打ち上げ10秒前――9、8…」
『誰』
「少佐…間もなく通信が途絶
します。必ず生きて…生きて
再会しましょう!」
「5、4、3――」
神宮司少佐
「そうだな。まあ、それは割合と
簡単に叶いそうだ。何しろ貴様は
この後に及んで――」
神宮司少佐
「私の心配をしているようだしな。
オリジナルハイヴを舐めたその
態度…大物だよ」
『誰』
「少佐…………」
神宮司少佐
「『誰』大尉、頼んだぞ。
この世界の混乱を正してくれ!」
神宮司少佐
「桜花作戦で散っていった多くの
命が無駄にならぬよう…やっと
掴んだ人類の未来を――」
神宮司少佐
「絶対に取り戻すんだ!」
『誰』
「はっ――!
この命に替えても、必ず!!」
「2、1――」
「――ゼロ!」
『誰』
「うおおおおおお――!!!」